かつては、おせち料理を用意することも、欠かせない新しい年を迎える準備の段取りのひとつでありました。しかし、時代の流れにつれ、我が家のおせち料理の重要度も年々少なくなってきたようです。現在は、ぐっと簡略して、最小限度のおせち食材を宅配でとって元旦に頂く程度になりました。年配の両親が他界して、家族構成が変わってきたせいもあるでしょう。若い人は、新年の過ごし方もまちまちですし、お正月でも通常の食事でいいと感じてもいることもあります。中高年となった私たちも、少しだけのお正月の味わいがあればそれで充分な気がしてきました。和食は好きですが、手間のかかるおせち料理を年末から準備したいとは思わなくなったのです。
母がいる頃は、年末に食材を買いそろえ、晦日辺りから、下ごしらえをしていました。大晦日の晩ともなれば、準備も大詰めでテレビの紅白などゆっくり見ていられない時もありました。煮豆やたづくり、紅白のなます、煮物や昆布巻き、海老などの他、我が家はお餅用の餡を濾すなどの作業もあって、よく手伝いました。いつしか、こうした手間のかかるものは、次第に市販のものに切り替わり、結局はすべて出来あいのものを購入するという手はずに変わりました。どこでも、おせち料理を選んで予約しておけば、お正月の食卓に並ぶようになったからです。とても便利ですが、味の好みがあるので一長一短な面もあります。
外国人の知り合いには、日本の伝統的なお正月を象徴するおせち料理は魅力的に映るようです。見た目も美しく、味もよく、いわれもあるので好評でした。そのとおりなのですが、お正月の過ごし方自体も変わってしまいました。近年は、さほど普段と変わらないお正月を過ごすライフスタイルです。何だか、このままでは、かつてのお重に並べたおせち料理は郷愁を誘う思い出となってしまいそうで、ちょっと淋しい気もしますね。
私たちももう少し年配になってきたら、お正月の三が日くらいは落ち着いて過ごして、お重に並んだおせち料理が復活するのかもしれません。もちろん、お店で予約したものになることでしょう。フレンチ好きなのでラ・ロシェルおせちなんかは最高ですね。
おせち料理の思い出と移り変わり
